
「普通」になりたいのに、どうしてもうまくいかない

もしかして私、発達障害なのかな?
そんな風に感じたことはありませんか?
ASD(自閉スペクトラム症)について調べると、
- 興味や関心がすごく狭い
- こだわりが強い
- コミュニケーションが極端に苦手
といった特徴がよく紹介されています。
こうした説明を見て、「わたしはそこまでじゃないし、ASDじゃないかも」と思った方もいるかもしれません。
でも実は、女性の場合は、こうした「目立つ特徴」があまり表に出ないことも多いのです。
そのぶん、子どものころに気づかれず、「生きづらさ」を抱えたまま大人になる人が多いのが現状です。
この記事では、ASD女性によく見られる特徴を10個ご紹介します。「もしかして…」と思ったときの参考にしていただけたら嬉しいです。
ASD(自閉スペクトラム症)ってなに?
ASD(自閉スペクトラム症)は、以前は「自閉症」「アスペルガー症候群」などと呼ばれていた発達障害の総称です。
2013年にアメリカ精神医学会の診断基準(DSM-5)で定義されてから、ASDという名前でまとめて呼ばれるようになりました。
ASDは100人に1人の割合で見られ、男性に比べて女性の診断は1/4ほどといわれています。
なぜ女性のASDは見逃されやすいの?
女性のASDが見逃されやすいのには、理由があります。
- 研究が男性中心だった:長い間、ASDの研究は男性を中心に行われてきました
- マスキング(カモフラージュ)が上手:女性は周りに合わせることを覚えて、特性を隠すのが得意
- 内向的な特性:男性のような外向的な問題行動が少ない
こういった理由から、女性のASDは男性に比べて、世間的にあまり知られていません。
このことがASD女性の生きづらさにもつながっているんです。
ASD女性によく見られる10の特徴

女性の場合、幼いころから「まわりに合わせること」に一生懸命取り組んできた人が多く、特性が見えづらくなりやすい傾向があります。
そしてASDの女性には、共通して見られやすい傾向があります。
主な特徴を10個書いていくので、当てはまるものがないか確認してみてください。
特徴1. 小さいころから「まわりに合わせる」ことをがんばってきた
こんな経験はありませんか?
- 「普通に見られなきゃ」「浮いちゃいけない」と思って頑張ってきた
- 本当の自分を出すのが怖くて、いつも演技をしている感じ
- 周りの反応を見て、自分の行動を決めることが多い
- 「どうすれば好かれるか」をいつも考えている
ASDの女性は、子どものころから人とのやりとりに苦手さを感じつつも、「普通に見えるように」とがんばってきた人が多いです。
まわりからは「ちょっと変わってるけど、いい子」と思われて育ち、ASDという特性に気づかれずに過ごしてきたケースも少なくありません。

私も特に大きなトラブルを起こさず育ってきました。
特徴2. 人の行動を観察して真似をするのが得意
こんな行動をしていませんか?
- 他の人の話し方や表情をよく観察している
- 「こういう時はこう反応すればいい」とパターンを覚えている
- 自然にできているように見えても、実は頭で考えて行動している
- 一人になると、とても疲れてしまう
ASD女性は「自分ってちょっと変と思われているみたい」と自分の特性に幼いころからうっすらと気づいていることもあり、「他の人と同じようにふるまおう」と頑張る傾向があります。
そのため、まわりの人の会話やしぐさ、話し方などをよく観察し、真似をする能力が高くなっていく人も多いです。
でも、これは本当の意味で”自然にできる”わけではなく、「どうふるまえばうまくいくか」を頭で考えながら無理をして合わせている状態です。

これをカモフラージュやマスキングというそうです。
特徴3. 深い関係を築くのがむずかしい
人間関係でこんな悩みはありませんか?
- 初対面は何とかなるけど、2回目以降が続かない
- どうやって距離を縮めればいいかわからない
- 長く付き合っている友人がほとんどいない
- 表面的な会話はできるけど、深い話ができない
初対面の場面では、会話の流れや話す内容がある程度「パターン化」されているので、ASDの女性でもスムーズに会話できることもあります。
たとえば「どこから来たんですか?」「お仕事は何を?」など、聞くことはだいたい決まっているからです。
でも、関係が続いていく中で「話題が見つからない」「どうやって距離を縮めていけばいいのか分からない」と困ってしまうことも。
そのため、長くつきあっている友人が少なかったり、気軽に話せる人がなかなか見つからなかったりすることがあります。

特徴4. 女性グループにうまくなじめない
グループでの経験
- 女性同士の雑談についていけない
- 場に合わない発言をして空気を凍らせたことがある
- グループに入ることを避けがちになった
女性の集団の中では、とくに「空気を読む力」「共感力」が求められがちです。
ガールズトークのように、その場の感情や空気にそって話題がポンポン変わるような会話は、ASD女性にとってとても難しいものです。
場に合わない一言を言ってしまい空気を凍らせた経験から、だんだんと女性同士のグループに入るのを避けてしまうことも。

特徴5. 「何を考えているかわからない」と言われる
周りからのこんな反応
- 「何考えてるかわからない」とよく言われる
- 「もっと感情を表に出して」と言われる
- 自分では普通のつもりなのに「冷たい」と思われる
- 本当の気持ちを表現するのが苦手
ASD女性は、感情の表現が苦手だったり、相手が期待する反応と違う反応をしてしまうことがあります。
自分では普通に話しているつもりでも、「何を考えているかわからない」と言われてしまうことも。

特徴6. 感覚過敏がある
感覚の敏感さチェック
- 特定の音(チョークの音、工事音など)が耐えられない
- 服のタグやチクチクする素材が気になる
- 強い光や蛍光灯が苦手
- 人混みにいると疲れやすい
- 食べ物の食感に強いこだわりがある
ASDの特性の一つに、感覚の過敏さがあります。
音、光、触感、味覚、嗅覚などに対して、一般的な人よりも敏感に反応してしまうことがあります。
これらの感覚過敏は、脳の特性によるものです。

特徴7. 予定変更や突発的なことが苦手
変化への対応
- 急な予定変更があると、ひどく混乱する
- 「臨機応変に」と言われても、どうすればいいかわからない
- 同じルーティンで過ごすと安心する
- 新しい環境に慣れるのに時間がかかる
ASD女性は、変化への対応が苦手な傾向があります。
決まったパターンや予定があることで安心でき、急な変更があると不安になったり混乱したりしてしまいます。

特徴8. マルチタスクが苦手
仕事や生活での困りごと
- 複数のことを同時に進めるのが難しい
- 電話をしながらメモを取るのが苦手
- 話しかけられると、何をしていたか忘れてしまう
- 一つずつ順番に進めたい
一つのことには集中して取り組めるけれど、複数のことを同時に処理するのが苦手な傾向があります。
これも脳の特性によるもので、努力不足ではありません。

特徴9. 相談や助けを求めるのが苦手
困ったときの行動パターン
- 「こんなことで相談していいのかな」と迷ってしまう
- 人に頼るのが申し訳なくて、一人で抱え込む
- 「普通の人ならできるはず」と自分を責める
- 限界まで我慢してから、突然爆発してしまう
「普通にできないのは自分が悪い」と思い込んでしまい、助けを求めることができない傾向があります。

特徴10. 「普通」になろうと無理をしすぎてしまう
頑張りすぎるパターン
- 「みんなと同じようにしなきゃ」というプレッシャーを感じる
- 自分らしさよりも「普通らしさ」を優先してしまう
- 限界を超えても頑張り続けてしまう
- 燃え尽きて、突然何もできなくなることがある
ASD女性は、「普通」になろうと過度に努力してしまう傾向があります。
でも、その結果として心身の疲労が蓄積し、うつや適応障害などの二次障害につながることもあります。

【チェックリスト】あなたはいくつ当てはまりますか?
これまでご紹介した特徴を、チェックリスト形式でまとめました。
ASD女性の特徴チェックリスト
□ 小さいころから「まわりに合わせる」ことをがんばってきた
□ 人の行動を観察して真似をするのが得意
□ 深い関係を築くのがむずかしい
□ 女性グループにうまくなじめない
□ 「何を考えているかわからない」と言われる
□ 感覚過敏がある(音、光、触感など)
□ 予定変更や突発的なことが苦手
□ マルチタスクが苦手
□ 相談や助けを求めるのが苦手
□ 「普通」になろうと無理をしすぎてしまう
これは診断ツールではないので、多く当てはまったからといって、必ずASDというわけではありません。
でも、多くの項目に「あ、これ私のことだ…」と思った方は、一度専門機関に相談してみることを考えてもいいかもしれません。
ASD女性はどうして生きづらさを感じやすいの?
ASDは男女問わず見られる発達特性ですが、わたしは、女性のASDのほうが、もしかしたら「生きづらさ」が強く出てしまうこともあるのでは?と思っています。
女性に求められる社会的役割
なぜなら、女性は「共感力」や「空気を読む力」がとても重視されやすい環境で生きているから。
- 「女性らしく」という社会的期待
- 協調性やコミュニケーション能力への要求
- 感情労働の負担
- 「気配り上手」であることへのプレッシャー
そしてASD女性は、その空気を“読めていない”ことに、自分で気づいてしまうことも多いんです。
自己肯定感の低下
空気を“読めていない”ことに気づいてしまうため、
「わたしってダメなんだ…」
そう感じて、さらに自分を責めてしまうことも多いのではないでしょうか。
- 「努力が足りない」と自分を責める
- 「みんなは普通にできるのに…」という比較
- 「自分が変だから悪い」という思い込み
- 完璧主義になりがち

「もしかしてASD?」と思ったらどうすればいい?
チェックリストで多くの項目に当てはまった方や、「もしかして私もASDかもしれない」と思った方へ、次のステップをご紹介します。
1. まずは自己理解から始める
診断を受ける前に、まずは自分自身を理解することから始めましょう。
- 困りごとを整理する:具体的にどんなことで困っているか書き出す
- 得意なことも見つける:苦手なことばかりでなく、得意なことも確認
- 環境要因を考える:どんな環境だと楽で、どんな環境だとつらいか
- 情報収集する:ASDに関する正しい知識を身につける
2. 信頼できる人に相談してみる
一人で抱え込まず、信頼できる人に相談してみることも大切です。
- 家族や親しい友人
- 職場の上司や信頼できる同僚
- 学生時代の先生
- カウンセラーや相談員
3. 専門機関での相談を検討
より詳しく知りたい場合は、専門機関での相談を検討してみましょう。
相談できる機関
- 発達障害者支援センター:各都道府県に設置
- 精神科・心療内科:発達障害の診断ができる医療機関
- 臨床心理士・公認心理師:心理相談やカウンセリング
- 市区町村の相談窓口:福祉サービスに関する相談
4. 診断を受けるメリット・デメリットを考える
診断を受けるかどうかは、よく考えて決めることが大切です。
メリット:
- 自分の特性を正しく理解できる
- 適切なサポートや配慮を受けられる
- 自己肯定感が回復しやすい
- 家族や周囲の理解が得られやすい
- 福祉サービスを利用できる
デメリット:
- 診断を受けることへの心理的負担
- 周囲に知られることへの不安
- 就職や保険加入で制限を受ける可能性
- 「障害者」というレッテルへの抵抗感

まとめ:まずは自分を知ることから
この記事では、ASD女性によく見られる10の特徴をご紹介しました。
多くの項目に当てはまった方も、そうでない方も、まず大切にしてほしいのは、自分の特性を理解し、受け入れることです。
「普通」になろうと無理をし続ける必要はありません。
これからできること
- 自分の困りごとを整理する
- 信頼できる人に相談してみる
- ASDに関する正しい情報を集める
- 必要に応じて専門機関に相談する
- 診断を受けるかどうかをじっくり考える
もし多くの特徴に当てはまると感じたら、それは「自分を理解する」ための重要な手がかりになります。
一人で悩まず、まずは小さな一歩から始めてみませんか?


