
まわりに合わせすぎて、本当の自分がよく分からない

自分から人に近づくのがちょっと苦手
そんなふうに感じているあなたは、もしかしたらASD(自閉スペクトラム症)の“受動型”と呼ばれるタイプかもしれません。
受動型の人は、人との関係を“つくりすぎず、壊さず”静かに保つことが得意です。
だから、まわりからは「落ち着いている」「おとなしい」「空気を読んでくれる人」と思われやすいかもしれません。
でもその内側では、
- 自分から距離を縮められず、いつも“遠いまま”の関係
- 頼れない、相談できない、だから気づかれないしんどさ
- 表面では穏やかでも、心の中は孤独や不安でいっぱい
——そんな思いを、ひとりで抱え込んでいることも少なくありません。
この記事では、受動型の特徴や困りごとを解説しながら、少しでも生きやすくなるヒントをお届けします。

わたしも受動型です。
人との関わり方って、ほんとうに難しいですよね。
特徴:ASD受動型ってどんなタイプ?
ASDの「受動型」は、自分からは関わろうとしないけれど、相手から話しかけられたら応じるという特徴をもっています。
いわば、「受け身だけど、無視するわけではない」タイプです。
もともと人と関わることに強い興味があるわけではなく、自分から距離を縮めにいくのが苦手な傾向があります。
それでも、人に合わせる力や場の空気を読む力が備わっていることが多く、まわりにうまく溶け込んでいるように見えるかもしれません。
ただ、実際には…
- 話しかけられれば応じるけど、自分の意見はあまり言わない
- 人との距離感がつかめず、親しくなるタイミングがわからない
- 「何を考えてるのかわからない」と言われることが多い
- 自分でも、自分の気持ちがよくわからない
そんなふうに、内側にある“自分の気持ち”と、外側で見える“受け答え”との間にギャップがあることが、受動型の人の大きな特徴です。
このギャップは、自分を守るために無意識に身につけてきた“対応スキル”のようなものかもしれません。
でも、ずっとそのままでいると

「本当はどうしたいのか」が分からなくなって、だんだんと疲れてしまうこともあります。
困りごと:受動型の人が抱えやすいしんどさ
受動型の人は、一見「穏やかで問題なさそう」に見えることがあります。
でも実は、人に合わせすぎてしまうことや、距離感の取り方が分からないことから、さまざまな悩みを抱えやすい傾向があります。
自分の気持ちがよく分からない
いつもまわりに合わせてきた結果、「本当はどう思ってるの?」と聞かれても、自分でも分からないということがあります。
気づけば、心の中にモヤモヤだけが残っていて、言葉にできない苦しさを感じているかもしれません。
頼れない、相談できない
誰かに何かをお願いする、助けを求める――
そんな場面で「迷惑かもしれない」「うまく伝えられない」と思ってしまい、結局ひとりで抱え込んでしまうこともよくあります。
人との距離が縮まらない
話しかけられれば応じるけれど、自分から関係を深めにいくのは苦手。
そのため、「いい人だけど、なんとなく遠い存在」と思われやすく、関係が深まらないまま終わってしまうこともあります。
無理をしてしまう
「嫌われたくない」「空気を悪くしたくない」という気持ちから、本当はイヤなことにも「いいよ」と言ってしまう。
その場はうまくおさまっても、自分の中にストレスが積み重なっていく
——そんなパターンに心当たりはないでしょうか。
受動型のしんどさは、とても静かで目立ちにくいもの。
でも、だからこそ気づかれにくく、長くひとりで抱え込んでしまうことが多いのです。

ここからは、そんな毎日を少しでもラクにするためのヒントを、お伝えします。
生きやすくなるヒント:少しずつ“自分”を感じていく
受動型の人にとって、「自分の気持ちを知ること」は、すぐにできることではありません。
でも少しずつ、自分の内側に目を向けていくことで、「私はこう思ってたんだ」と気づける場面が増えていきます。

ここでは、無理なくできる小さなヒントをご紹介します。
小さな「イヤ」「うれしい」に気づく
大きな感情ではなくてかまいません。
たとえば、「こういう関係が心地いいな」「この言い方は少し嫌だったな」など、小さな感覚に気づいてあげることが大切です。
「何を考えているか分からない」と言われがちな人ほど、内側にはたくさんの感情が眠っているもの。

その“声”に、自分がまず耳を傾けてあげてください。
書き出してみる(メモ・日記・スマホのメモでもOK)
人に話すのが難しいときは、自分だけが見る場所に気持ちを書くのもおすすめです。
「言語化」することで、自分の気持ちが整理されて、少しずつ輪郭が見えてくるようになります。
日記でも、キーワードだけでも大丈夫。

「なんとなくモヤモヤする」だけでも書いてみてください。
「言えそうな人」から、少しだけ本音を伝えてみる
全部をさらけ出す必要はありません。
まずは「この人なら、少し言ってみても大丈夫かも」と思える相手に、小さな気持ちをほんの少しだけ伝える練習をしてみてください。
たとえば、「今日はちょっと疲れちゃって…」の一言でも、それは立派な自己開示です。
距離を縮めない勇気も持っていい
人との距離を近づけることに疲れてしまうなら、無理に仲良くなろうとしなくて大丈夫。
「関係を深めること=良いこと」ではありません。

ちょうどいい距離感で関わるほうがラクなら、それが“自分らしい人間関係”なのです。
「ひとりが好き」も、ちゃんとあなたの一部
受動型の人は、ひとりの時間が安心できる大事な居場所であることが多いです。
まわりに合わせすぎて疲れてしまったときは、遠慮せず、ひとりになってリセットしてください。
それは「逃げ」ではなく、「自分を守る力」です。

無理に変わろうとしなくても、ほんの少しずつで大丈夫です。
自分の感情に気づき、自分のペースを大切にできるようになるだけで、生きやすさはぐっと変わっていきます。
周囲の人へのヒント:見えにくいしんどさに、そっと気づいて
受動型の人は、あまり自己主張をしません。
人に頼るのが苦手で、「困っている」と言えないまま、静かに限界を迎えてしまうこともあります。
だからこそ、

まわりの人が気づいてあげられると、大きな支えになります。
「大丈夫そう」に見えても、安心しすぎないで
受動型の人は、笑顔で相づちを打ち、場を乱さずに過ごしているように見えます。
でもその裏で、自分の気持ちを抑え込み、まわりに合わせすぎて疲れていることがあります。
「何も言ってこない=問題ない」ではなく、「何も言わないからこそ、困っていないか気にかける」視点が大切です。
そっと選択肢を渡す・質問を明確にする
受動型の人は、「どうする?」とざっくり聞かれると困ってしまうことがあります。
そんなときは、具体的な選択肢をそっと提示すると安心しやすくなります。
たとえば:
また、「〇〇の件、困ってない?」のようにYES/NOで答えやすい聞き方をするのもおすすめです。
「話してくれてありがとう」を伝える
受動型の人にとって、「自分の気持ちを言う」ことはとても勇気がいる行動です。
だからこそ、ほんの少しでも本音を話してくれたときには、「ちゃんと受けとったよ」を返してあげてください。
「話してくれてありがとう」
「言ってもらえて嬉しいよ」
そんな一言があるだけで、「また話してみようかな」と思えるきっかけになります。
距離を縮めようと焦らなくていい
受動型の人は、人との距離感を縮めるのがゆっくりなだけ。
時間をかけて少しずつ関係を築いていくタイプです。
だから、無理に踏み込もうとせず、「そばにいるよ」と静かに見守る関わり方が、いちばんの安心材料になります。
見えにくいしんどさを、どうか否定せずに受けとめてください。
「ちょっと変わってるけど、あなたはあなたでいい」と、そんな空気のなかで、受動型の人はすこしずつ心を開いていけます。
自分でもよく分からないまま、がんばってきたあなたへ
人との関わり方がよく分からない。
自分の気持ちも、うまくつかめない。
でも、なんとなく「合わせなきゃ」「嫌われたくない」と思って動いてしまう——。
それは、誰かに認めてもらいたかったり、居場所を失いたくなかったり、ずっとまわりを大切にしようと頑張ってきた証拠です。
あなたが静かにがんばってきた日々は、誰に分かってもらえなくても、本物です。

そのがんばりを、まず一番に認めてあげてください。
少しずつ、自分のペースで「自分らしさ」を見つけていこう
受動型であることは、決して「ダメ」なことではありません。
すぐに関係を深められないのも、人に頼るのが苦手なのも、あなたの繊細さと優しさです。
無理に変わろうとしなくて大丈夫。
「わたしは、こういう人なんだ」と少しずつ知っていければ、それで一番。

少しずつ、自分の気持ちにやさしくなっていけますように。

